【尼崎・大物】阪神二軍の球場がやってきた街。地価はどう動いた?──浜田、鳴尾浜、大物 三つの球場の土地のその後

尼崎地場ネタ

この記事でお伝えしたいこと

先に結論を言うと
阪神二軍の球場が来ても、大物駅前の住宅地の地価はじわりと上がった程度です。一方、浜田の球場跡地は「売らずに貸す」形で商業地に生まれ変わりました。土地は使われ方で値打ちが変わり、相続税の評価も、持ち方や貸し方で変わります。

こんな方へ
大物・杭瀬・浜田のあたりに土地や家をお持ちの方。使っていない土地を、売るか貸すかで迷っている方。

分かること
阪神二軍の本拠地の50年の移り変わり。大物駅前の地価の10年の動き。球場跡地のその後と、土地の持ち方・貸し方による相続税評価の違い。

地価の話から読みたい方はこちらからどうぞ。

2025年3月、阪神大物駅の北側に、阪神タイガースのファーム(二軍)の新しい球場が開業しました。「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」です。

尼崎で育った僕にとっては、「二軍が尼崎に帰ってきた」という感覚があります。年配の方なら覚えておられると思いますが、昔は国道2号沿いの浜田に、阪神の二軍の球場があったんです。

今回は、大物の新球場、浜田の旧球場の跡地、そしてその間の西宮・鳴尾浜。三つの球場の土地がどう使われ、まわりの地価がどう動いたかを追ってみます。

二軍の本拠地は、尼崎に帰ってきた

時期場所その後
1979年〜1994年阪神浜田球場(尼崎市・国道2号沿い)跡地は商業施設に
1994年〜2024年阪神鳴尾浜球場(西宮市)跡地は物流施設を建設中
2025年〜日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎(大物駅北)—

浜田球場は、もともと阪神電鉄の路面電車(国道線)の車庫でした。1975年に路線が廃止されたあと、跡地にはショッピングセンターの計画がありました。ところが当時は大規模小売店舗法の規制があり、尼崎市は「つかしん」の審査が決着するまで新しい届け出を受け付けない方針だったそうです。そこで、商業施設ができるまでの「つなぎ」として二軍の練習場にした。それが1979年に完成した浜田球場です。

左右の両翼は甲子園と同じ91メートル。ところが1992年に甲子園のラッキーゾーンが撤去されて広さが合わなくなり、施設の老朽化もあって、1994年に西宮市の鳴尾浜へ移りました。「つなぎ」のはずが、15年使われたことになります。

大物の新球場はこんな場所です

大物の新球場は、1983年に日本で初めての防災公園として開園した小田南公園を整備し直したものです。

  • 大物駅の北側、徒歩5分ほど
  • 内野スタンド約3,600席、外野の臨時席を入れて約4,400人規模
  • グラウンドの広さや向きは甲子園と同じ
  • 阪神電鉄が球場などを建てて尼崎市に寄付し、40年間の運営権を得る形(2021年に基本協定)

鳴尾浜球場は観客席が500人ほどで、二軍の試合でも入りきらない日があったそうです。広い敷地を探して、尼崎の公園に白羽の矢が立ったわけです。

ちなみに大物は、源義経が兄の頼朝に追われて船出したと伝わる土地で、能の「船弁慶」の舞台でもあります。駅のすぐ近くの大物主神社にも、その伝承が残っています。古くからの港町に、新しい名所が加わりました。

大物駅前の地価は、じわりと上がった

では、球場ができて地価は上がったのでしょうか。大物駅から260メートルの住宅地(大物町1丁目、公示地価の標準地「尼崎-25」)の推移を見てみます。

年公示地価メモ
2016年161,000円/㎡
2018年159,000円/㎡
2021年158,000円/㎡5月に球場移転の基本協定
2022年158,000円/㎡底
2023年159,000円/㎡
2024年161,000円/㎡+1.3%
2025年165,000円/㎡+2.5%(3月に球場開業)
2026年171,000円/㎡+3.6%

2022年の底から4年で+8.2%です。2026年の+3.6%は、尼崎市の住宅地の平均(+2.7%)を少し上回っています。

ただ、「球場ができて地価が跳ね上がった」というほどではありません。ここ数年は尼崎市全体で地価が上がっていて、その流れに少し上乗せされた、というのが実感に近いと思います。10年前の水準をようやく上回ったところです。

このあたりは、一般住宅と作業所などが混ざった、昔ながらの住宅地です。二軍の試合は年に数十日で、球場は大きな人の流れを毎日生むわけではありません。地価への効き方は、穏やかなものです。

浜田の球場跡地は、いま

一方、浜田の旧球場は、1994年に二軍が去ったあとも施設がしばらく残り、2016年に隣の阪神バスの車庫の再整備にあわせて姿を消しました。

約6,000坪の跡地は、土地を売るのではなく、まとめて賃貸する形で開発されました。いま国道2号沿いに並んでいるのは、次のような店です。

  • レクサス尼崎(自動車ディーラー)
  • ケーズデンキ尼崎浜田店(2019年11月開業)
  • 魚べい、丸亀製麺、セカンドストリート、コーナン、ドラッグユタカ、ローソンなど

路面電車の車庫から、「つなぎ」の球場を経て、40年以上たってようやく当初の計画どおりの商業地に。土地の使われ方が、時代とともに変わってきたのがよく分かります。

近くの国道2号沿いの商業地(浜田町4丁目、標準地「尼崎5-8」)の公示地価は、2023年の29.0万円/㎡から、2026年には33.5万円/㎡。3年で+15.5%と、大物駅前の住宅地よりはっきり上がっています。車で来るお客さんが多い国道沿いのお店の土地は、いま強いようです。

鳴尾浜の跡地は、物流施設に

二軍が30年使った鳴尾浜球場の跡地では、2026年10月1日に、阪神電鉄と阪急阪神不動産による冷凍冷蔵の物流施設「ロジスタ鳴尾浜」の工事が始まりました。敷地は約2万㎡、延床面積は約4.5万㎡で、2028年10月末の完成予定です。

尼崎市でも、2026年の公示地価の前年比は、住宅地が+2.6%、商業地が+5.2%だったのに対し、工業地は+10.9%と大きく上がっています。倉庫や物流施設に使える土地への需要は、それだけ強いということです。球場の跡地がそのまま物流施設になるのは、いまの土地の値打ちの出方をよく表していると思います。

税理士として思うこと──土地は「売る」だけではない

三つの球場の話で印象に残るのは、浜田の跡地が売られずに、貸して使われていることです。土地を持ち続けながら、借りたい人に使ってもらって収入を得る。鉄道会社らしい、長い目で見た土地の持ち方です。

個人の方でも、使っていない土地を「売るか、貸すか」で迷うことがあります。相続税の面では、土地をどう持っているかで評価が変わります。

  • 自分で使っている土地や空き地は、原則として路線価どおりの評価
  • アパートなどを建てて人に貸している土地(貸家建付地)は、借りている人の権利の分だけ評価が下がる
  • 土地だけを人に貸して、相手が建物を建てている土地(貸宅地)も、借地権の分だけ評価が下がる

ただ、貸せば必ず得というわけではありません。いったん貸すと自由に売りにくくなりますし、借りる人がいてこその話です。相続税の評価だけでなく、収入や管理の手間、次の世代が引き継げるかまで含めて考えるのが大切です。

地価が上がれば、相続税の評価も上がります。相続税の路線価は公示地価のおおむね8割が目安なので、大物町1丁目で100㎡の土地なら、2022年から2026年で評価は約100万円上がった計算です(あくまで目安です。実際の評価は道路ごとの路線価と、土地の形などで決まります)。

大物や杭瀬、浜田のあたりで土地をお持ちの方で、「この土地をどうするか」を考えたい方は、お気軽にご相談ください。まずはお話をうかがうところから始めます。


出典

兵庫県尼崎市の税理士事務所

相続・不動産の税務相談は唐沢会計事務所へ

開業40年。相続・不動産・事業承継のご相談を専門に承っています。小規模事務所だからこそ、税理士本人がご相談から申告まで対応し、担当者が変わるごとに説明しなおすというようなことはありません。

初回相談は30分無料。尼崎近隣の方はもちろん、全国リモート対応にてご相談いただけます。

お電話でのご相談:06-6421-7133(平日 9:00〜17:00)

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