相続のご相談に初めて来られるお客様には、事前にこんなお願いをしています。
【必要資料】
- 戸籍謄本(お持ちの分だけで大丈夫です)
- 生命保険金の受取額がわかるもの
- 銀行預金の残高がわかるもの
- ご自宅の固定資産税の明細
- その他、相続に関係しそうな書類がありましたらあわせてお願いします
……とはいえ、これだけ渡されても困りますよね。
どの書類のことを言っているのか。それはどこに行けば手に入るのか。そこが分からないと、動きようがないと思うんです。
今日はひとつずつ説明していきます。
戸籍謄本は「生まれてから亡くなるまで」がつながっている必要があります
相続で必要になる戸籍は、亡くなった方の最後の1通ではありません。生まれてから亡くなるまでの戸籍を、切れ目なくつなげて集める必要があります。
相続人が誰なのかを確定するためです。
ところが戸籍というのは、結婚や引越し、法改正などで本籍地が動いていることがよくあります。以前はそのたびに、移動前の役場へ郵送で請求して……という作業が必要で、これがなかなかの一苦労でした。
今は事情が変わりました。2024年3月から「広域交付」という制度が始まっていて、お住まいの市区町村役場の窓口に行けば、本籍地が全国のどこにあっても、まとめて請求できるようになっています。
ただ、いくつか気をつけていただきたい点があります。
- 請求できるのは、本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母)・直系卑属(子、孫)に限られます。兄弟姉妹の戸籍は、この制度では取れません
- 郵送での請求も、代理人による請求もできません。請求する方ご本人が窓口に行く必要があります
- 運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの本人確認書類が必要です
- コンピュータ化されていない一部の古い戸籍・除籍は対象外です
窓口まで行ったのに取れずに戻ってこられる方がいらっしゃるので、この4点だけは先に確認しておいてください。
(参考:法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(戸籍の広域交付)」)
銀行預金は、まず通帳のありかから
預金の残高が分かるものが必要です。故人の通帳のありかが分かっているなら、それを集めてください。
最近はネット銀行も増えてきましたので、通帳そのものが存在しないこともあります。せめて「どこの銀行に口座を持っていたか」さえ分かれば、そこから探すのはずいぶん楽になります。
同じように、株式や投資信託をお持ちだった場合は、証券会社の口座情報も必要です。
四十九日が済むころまで、郵便物に気をつけてください
お葬式が終わってしばらくすると、金融機関などから郵便物が届きはじめます。
残高のお知らせ、取引報告書、保険会社からの通知。こういった書類が、口座や契約を見つけるための手掛かりになることがあります。
生命保険についても同じで、保険証券が見つからなくても、保険会社からの郵便物から契約にたどり着けることがあります。
だいたい四十九日が済むころまでは、届く郵便物に少し注意を向けておいてください。バタバタしている時期ではありますが、ここで拾えるものは多いです。
固定資産税のお知らせは、4月か5月に届きます
ご自宅など不動産をお持ちの方であれば、毎年4月か5月ごろに、各市町村役場から固定資産税に関するお知らせが届きます。これも必ずチェックするようにしてください。
不動産は評価額が大きくなることが多いので、相続税を考えるうえでとても重要な情報になります。
お知らせが見つからない場合でも、市町村役場に問い合わせれば確認できます。その市町村内に持っている不動産を一覧にした「名寄帳(なよせちょう)」という書類を出してもらう方法もあります。
購入したときの資料が残っていれば、それも参考になります。もっともこの資料は、相続のあとの手続きでも必要になってくるものなので、これについては別の記事であらためて書きます。
どこに不動産があるのか分からない、というご相談も実際にあります。そのときの話はこちらに書きました。
>> 「父がどこかに土地を持っていたらしい」——バブル期のリゾート開発地を探した話
全部そろわなくても、大丈夫です
ここまで読んで、大変そうだなと思われたかもしれません。
でも、最初のご相談の時点で全部そろっている必要はまったくありません。「お持ちの分だけで大丈夫です」とお伝えしているのは、そういう意味です。
手元にあるものを持ってきていただければ、そこから何が足りないのか、どこで手に入るのかを一緒に整理していけます。むしろ、ご自分だけで抱え込んで何か月も止まってしまうほうが、もったいないと思っています。
お気軽にご相談ください。まずはお話をうかがうところから始めます。

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