離婚にまつわるオカネの話

税務会計

どんな円満夫婦でも一度くらい頭をよぎったことはあるのではないでしょうか。
離婚は結婚より大変だと聞きますが、いまや3組に1組が離婚しています。
離婚の方が大変な理由は、子供の問題とオカネの問題でしょう。
このブログでは離婚の際に問題になるオカネの問題、なかでも税金について注意が必要な項目について解説します。

固有財産と共有財産とは

婚姻関係にある夫婦の財産は、どちらの名義であっても同一家計として扱われます。
たとえば、他人同士であれば一年に110万円をこえて贈与すれば課税されますが、夫婦間ではそういうことはありません(例外はあります)。

また、例えば家の家具のひとつひとつについて、これは夫のもの、妻のものと分けている家庭は少ないことでしょう。
ところが、離婚をするとなると、これをひとつづつどちらかのものとして確定していく必要があります。

これを、「財産分与」といいます。

財産分与の基本的な考え方

ざっくりいえば、婚姻期間中の財産は半分づつにするということになります。

たとえば、専業主婦家庭であって、夫名義で給与の振込があり、その中から貯金をしたり家を買ったりしたとしても、それは夫婦で半分づつにします。

また、このような過程で妻がこっそりへそくりをしていたとしても、これも半分づつにすることになります。

ただし、固有財産という考え方があります。
たとえば、結婚前にためていた貯金であったり、あるいは相続により受け取った財産などがそうで、これについては夫・妻固有の財産で分割の対象にはなりません。

自分専用の自転車などもこれに該当します。

つまり、固有財産はそれぞれのモノ。共有財産は半分にする。
このとき、名義がどうであるかではなく、婚姻期間中に形成した財産は共有になるということに注意が必要です。

実際の財産分与のすすめかた

さて、上記の考え方に基づいて、どの財産をどちらのものにするかを決めていきます。
実際には、どこまでが固有財産なのか境界は難しいこともあるでしょう。
結論から言えば、お互いが納得する分け方ならOKです。原則は半分づつですが、なんらかの事情でどちらかが多いとしても、双方が納得すればその分け方で問題ありません(贈与税の脱税目的などの例外は除きます)。
実務的には現金・預金については分け方(金額)をきめれば、それぞれ名義の口座にいれておくのが良いでしょう。

ただし、注意すべきは不動産についてです。

不動産の分与については注意が必要

マイホームを買っている場合、これが最大の財産であることも多いでしょう。
難しいのは、買ったときの価格はわかっても、現在の価格が算出しにくいことです。
また、住宅ローンが残っている場合もあるでしょう。

売却して現金を分ける場合

わかりやすいのは、売却して現金化する方法です。
この場合には、実際に売れた金額から、住宅ローンが残っていればこれを返済します。
その残額を二人で分け合うということになります。

どちらかが不動産を受け取る場合

実際にはこのパターンが多いでしょうが、そのままどちらが家に残る場合があります。
この場合、税法上は売却した場合と同様の処理を行うことになります。
すなわち、一旦売却したとみなして、そこで儲けが出るようならば譲渡所得が課税されるのです。

これはどういうことかというと、例えば夫名義で購入し長年住んでいたマイホームを財産分与で妻のモノにした場合に、夫に対して税金がかかることがあるのです。

感覚的には理解しにくいと思いますので、具体例をあげて説明します。

売ってもないのに、譲渡所得課税される例

夫名義で2000万円で十数年前に購入したマンションを、財産分与で妻に渡す場合を仮定します。
通常、古くなれば価値が下がりますので、税務上も一定のルールで価値が下がってくるという計算を行います。
ここでは、十数年経過して、会計上の価値が1800万円になったとします。
一方で、不動産の価格は相場の雰囲気や、周辺状況(駅ができたなど)で大きく上がることもあります。
この物件を売った場合に3800万円になるとすると、2000万円の利益がでることになります。
(実際には売っていないので、現金が手元にあるわけではありません)

しかし、税法上の扱い方としては、妻は3800万円の財産を引き受けたこととなります。
一方で、夫については、2000万円の利益について譲渡所得として課税されます。
なんども書きますが、実際には売ったわけではなく妻の名義にしただけなのに、利益があるとみなされるのです。
なかなか、納得しにくいとは思いますが、このような扱いになりますので、注意が必要です。

まとめ

離婚時の財産分与について、基本的な考え方と、税務上注意すべき点を説明しました。
税務上の注意点は他にもありますので、基本的なところを理解したうえで、税理士などの専門家の力を借りることをおすすめします。

参考

国税庁ウェブサイトより
「離婚して財産をもらったとき」についてはコチラ
「離婚して土地建物などを渡したとき」についてはコチラ

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