すぐに使える、建物価額の調べ方をかんたんにわかりやすく説明します。
なお、土地価額の調べ方についてはコチラを参照ください。
建物の場合は、木造や鉄筋コンクリートといった種類が異なることと、建ててから何年たったかで価額がかわる(古くなると安くなる)のが、土地とは異なるところです。
調べ方1 固定資産税のおしらせを見る
不動産を保有している方には、毎年5月頃に各市町村から固定資産税のお知らせが届きます。
市町村によって帳票はことなりますが、「評価額」の欄に記載されている金額が、固定資産税評価額です。計算も必要ないので便利です。
この建物の評価額は、建築時に構造などから決定された後は、年数の経過で評価されています。
サンプルはコチラ
調べ方2 かんたん見積方法
はじめにも書きましたが、建物の価額については木造や鉄筋コンクリートといった種類によって、建築費は異なります。
また、同じ木造であっても在来工法やツーバイフォーなど、さまざまな工法があります。さらには断熱材の厚みはどうかとか、間取りとか、同じに見えても建築費が異なります。
そうした違いがあるにはあるのですが、ここではエイヤっと概略計算をする方法をお伝えします。
建物の総床面積に㎡単価(坪単価)をかけて建築費を求める方法です。
たとえば、木造建築であれば一坪あたり55万円という単価を用いて、
30坪の建物ならば、建築費は以下のようにもとめます。
30x55=1,650万円
その上で、築年数に応じて古くなった分を減額します。
木造建築の場合、22年で価値がなくなると仮定して計算します。
(建築費の20%まで下がれば、そこで維持する方法もあります)
たとえば、上記の建築費1,650万円の建物が築10年たっているのならば、
現時点の時価は以下のようにもとめます。
1,650x12/22=900万円
(なお、12は22-10で求めています。価値ゼロになるまでの残り年数です)
補足1 建築費を見積もるハナシをもう少しくわしく
さて、上記の金額では木造建物について床面積で建築費を計算しました。
木造以外の鉄骨や鉄筋コンクリートの場合、下記の数字を使います。
木造 :55万円/坪
鉄骨造 :65万円/坪
鉄筋コンクリート(RC) :80万円/坪
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC):90万円/坪
これらの数字は僕が計算するときに使っている数字です(え!?)。根拠は下記の国税庁資料から、最近の数字をエイヤっと抽出しています。
元データは国税庁の建物の標準的な建築価額表です。
この表は昭和46年以後の年ごとに建築費がどうかわってきたかわかるようになっています。
単位を変換してグラフにするとこのようになります。
時代の変化に思いをはせながら、ながめているだけでオモシロイですよね(←僕だけ?笑)
補足2 古く安くなるハナシをもう少しくわしく
木造や鉄筋コンクリートなど作り方によって建築費が変わることを説明しました。
では、それぞれの工法で作られた建物は何年つかうことができるでしょうか。
いうまでもなく、メンテナンス次第で変わるのですが、銀行が積算価格を算定するときには、税法上の法定法定耐用年数が使われます。
国税庁の公表している耐用年数表はコチラです。
構造だけでなく、目的によっても変わるので少々わかりにくいです。
不動産投資でよく使う居住用物件についての構造別の耐用年数を下記に抜き書きしておきます。
木造 :22年
鉄骨造 :27年
鉄筋コンクリート(RC) :47年
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC):47年
(ただし、鉄骨造は骨格材の厚みにより異なります。)
僕の場合はおもに上記の数字をつかっています。物件価額を概算する目的ですので、細かいことには少し目をつぶって使うのがよいでしょう。
余談ながら・・・
税務上の減価償却費を求める際にもこうした耐用年数表を用います。
ただし、大規模修繕があると特殊な計算が必要になることがあります。
「資本的支出」と呼ばれる考え方なのですが、これについてはまた後日!
補足3 時価(現在の価値)についてもう少しくわしく
この項目は少しややこいいので、ムズカシく感じるかたは読み飛ばしてください。。。
ここまで「時価」つまり「現在の価値」はいくらかというハナシをしてきたのですが、
実はこれには二種類の意味があります。
再調達原価と取得原価
ここまでハナシをしてきた「時価」とは、現在、同じものを建てたらいくらかかるかという建築費から、古くなった分を補正した時価のことです。
これを「再調達原価」と呼びます。
タイトルに不動産投資初心者向けとしていますが、これから不動産を買おうという人には、この意味での時価が重要です。
買おうとしている不動産の価格を、このように計算した時価と比較する必要があるからです。
ただし、上記グラフをみても分かる通り、実際にいくら建築費がかかったのかは、建築年により異なります。
例えば築40年のRCマンションを新築の時からもっていて、これを売った場合にいくら儲かるのかという計算をするためには、40年前に建てた時の価格を元にした時価を使うことになります。
目的によって、「時価」の考え方に2種類あるということです。
まとめ
今回はすぐに使える建物価額の調べ方をかんたんに説明しました。
建物の場合は木造や鉄筋コンクリートといった種類が異なることと、建ててから何年たったかで価額がかわる(古くなると安くなる)のが、少々ややこしいところです。
自分なりの評価ができるようになれば、不動産情報をより深く見ることができるようになります。
ぜひ、相場感覚をやしなっていきましょう!
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