はじめに
2015年の相続税法の改正により相続税を払う人が増えました。
そこで、「相続対策」しようというハナシをよく耳にするようになりました
プロ目線で見たときに、「相続対策」と「相続税対策」は別モノです。
僕は「相続対策」は必要だと思いますが、「相続税対策」はクエスチョンマークのつくものが多い気がします
相続税のルールが変わりました
2015年の相続税改正では、基礎控除の金額が6割減となり、
それ以前は死亡者の約4%にしか相続税がかからなかったのに、8%くらいの方が対象となりました。
例えば、妻と子2人を残して亡くなった人の場合、従来は財産の額が8000万円以下であれば非課税だったのですが、今では4800万円が境界線となっています。
このため、少し良い立地の一軒家を持っている方の場合など、相続税が課税されるということが多くなりました。
これだけは知っておきたい、相続税計算のキホン
相続税の計算は、まず財産の金額がいくらなのかというところがスタートになります。
この財産の額とは、現金や銀行預金はもちろん、故人が持っていたモノや不動産についても、財産の額に加えるのです。
不動産の評価額は相続税の計算で用いられる方法が決められています。そして、この評価額は実際の売買金額より小さくなることが多いです。
これには理由があります。不動産の場合、故人の所有していた家に相続人家族が引き続き生活することがありますが、相続税が高くて払えずに生活に困るということがないようにするためです。
(なお、実際には他にも相続税が優遇される制度が用意されています)
相続税を減らすにはカネ→モノにする
この制度を利用すると、こういうことができます。
例えば現金で1億円を相続すると、この1億円という価値(評価額)に対して相続税がかかることになりますが、1億円で不動産を購入するとどうでしょうか。
多くの場合、1億円で購入した不動産はそれより安い価値(評価額)で相続税を計算されることになります。
一般的には、おおよそ7割程度の評価額になりますので、現金のままより不動産にした方が、相続税評価額は3000万円くらい下がることになります。
相続税の税率は相続財産の額によりますが、仮に20%の税率の人であれば、600万円ほど相続税が安くなるということになります。
そして、すべての手続きを終えた後に、この不動産を売却すれば、現金に戻すことができます。
ただし、売買には別途費用がかかります。(購入した金額より安くなることもあるでしょう)
とはいえ、こうした別途費用が600万円を越えなければ節税成功というわけです。
ここまでのまとめ
長くなってきたので、ここまでをいったんまとめます。
・相続税には基礎控除といわれる境界線があり、それ以下の金額だと相続税はかかりません。
・財産の額により税額を計算しますが、通常不動産を買うと買った値段より安い額として計算します。
続編ではこれを利用したタワマン節税について解説します。
ここで一つ注意喚起しておきます。
相続税の計算は多くの留意点があり複雑な規定がありますが、このブログではその基本骨格を理解してもらうことで、節税に見えるが実際には業者が儲かるだけといったことが無いようにしたいと考えています。
実際の税額計算や対策の検討については、専門家へ確認することをおすすめします。
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