「この世には人を傷つけるものが三つある。悩み、諍い(いさかい)、空の財布。
三つのうち空の財布が最も人を傷つける」ーユダヤの格言
石角完爾『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集 (集英社ビジネス書)』より
大富豪とはどのような人でしょうか?
どうすれば、そうなれるのでしょう??
自分はまじめに生きているからお金持ちになんてなれるはずがないとか、
お金持ちはみんな悪いことをして蓄えているんだとか、そんなイメージの方が多いのではないでしょうか。
どうも、日本で「お金持ち」とか「大富豪」とかいうと、悪いイメージが付きまとうように感じます。
「越後屋、そちも悪よの~」「お代官様ほどでは・・・」みたいな(苦笑)
アメリカのフォーブス誌の長者番付では上位400人のうち60人、実に15%をユダヤ人が占めていることを知っていますか?
ユダヤ人は人口でいえば世界の0.2%に過ぎないのです。
この本はユダヤ人のオカネに対する向き合い方に大きな違いがあることを指摘しています。
オカネにもトリセツがあります。道具ですから
日本のことわざに「バカとハサミは使いよう」というものがあります。
言い回しはちょっとドキっとしますが、ヒトもモノも使い方次第で、良くもなれば悪くもなることを言っています。
たしかに、おなじ刃物であっても使い方次第では、おいしい料理を作って人を喜ばせることもできれば、人を傷つけることもあるわけです。
自動車だってそうだし、科学技術全般にあてはまりますよね。
では、同じようにオカネも道具であると考えたことがありますか?
オカネを不浄と考える日本人
子供の頃、親からオカネについて、何を教えてもらいましたか?
お年玉をもらったタイミングで貯金しときなさいとか、お手伝いをしたらお駄賃をもらうとかでしょうか。
「お金を大切に」と言われ、オカシやオモチャを買わずに貯金箱に入れるとほめられる。
ウチの場合は、小遣い帳をつけなさいといわれたのは、父が会計職だったからかもしれません・・・(笑)
「ウチはオカネないから」といって、オネダリをかわされることはあっても、家の年収がいくらであるとか、なににどれくらいのお金を使うのかまで子供に語っている家は少ないのでしょう。
どちらかといえば、日本ではお金の話なんてしない方がよいという雰囲気ではないでしょうか。
子供のころから家庭や学校で議論するユダヤ人
この本では、ユダヤ人が大人から子供まで議論好きであると紹介されています。
著者はタルムードは最古の議論集であると説明しています。
例えば「難破船と三人の乗客の話」のあらすじはこんな感じです。
難破船が無人島にたどり着き、そこで船の修理を行うことになった。
乗客Aは船が出てしまうのが怖くて、島にはおりませんでした。
乗客Bは島におりて、船が見える範囲で集められる果物を食べました。修理が終わるのが見えたので、まだ食べたかったけれども船に戻りました。
乗客Cは島におりて、どんどん奥の方までいき満腹するまで果物を食べました。
子供たちが冒険物語を聞いているときに、親は「あなたならどうする?」と問いかけます。
自分ならこうすると答えると、「どうして、それを選んだの?」と理由を答えるようにしむけていくのです。
さて、物語の結末はこのようになります。
乗客Cが島の奥の方にいる間に、船は修理を終えて出港していまいました。
その後、航海中に乗客Aは栄養失調で死に、乗客Cは一生を島で過ごすことになり、乗客Bだけが無事に帰ることができました。
リスクを取らないのもリスクがあり、適切なリスクの取り方があるということを、教えているのです。
自分ならどうするのか、A、B,C以外のやり方も考えられるかもしれません。
大人が「こうしなさい」とか「これはダメ」とか決めつけずに、子供が自分で考えるのを手助けする。
いわば、人生で将来おこるさまざまな問題について、事前にシミュレーションして問題対応の力をやしなっているわけです。
家庭だけではなく、学校においても子供達が自分で考えることや質問することを積極的にすすめています。
例えば、子供が「一週間はなぜ7日間なの?」といった質問をすることは、日本でもどこでもあることです。
けれども、日本の学校で教師の答えに対して、「それはなぜ?」などと何度も食い下がったとしたらどうなるでしょう。
おそらく、質問は無視されるか、「後でね」などとして片づけてしまうのではないでしょうか?
こういうやりとりを通じて、クラスの他の子供達も、いわゆる「空気を読む」ことを身につけていきます。
すなわち、なぜだろう?と真理を追究することよりも、周囲にあわせることを優先する態度です。
さて、このように子供のころから、リスクについて考え、自分で判断するトレーニングを積んできたユダヤ人がビジネスで成功しやすいのは当然というべきでしょう。
フェースブック創業者のマーク・ザッカーバーグや、グーグル創業者のラリー・ペイジといったビジネスマンや、アインシュタインやスピルバーグといった学者や映画監督など、世界的な業績を残した著名人を多く輩出しているのは、こうした教育環境にも一因がありそうです。
読むべし!『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』
著者は国際弁護士として働く「元」日本人で、現在は改宗しユダヤ人として生きておられます。また、多くのビジネスパーソンと親交があります。日本人とユダヤ人それぞれの価値観や考え方をふまえ、日本であまり知られていないユダヤ人の考え方について紹介されたこの書籍は、ビジネスパーソンのみならず読むべき書籍だと感じました。ここで紹介したのはごくごく一部で、多くの気づきにあふれています。ぜひ、ご一読くださいまし。
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